出版業界みんなが幸せになれる魔法のことば【重版出来!】

8.期-2018年4月重版出来! 第1話~第10話

TSUTAYA DISCASのDVDで再視聴です。まあ安定の。TBSですし。

 

日本代表レベルの女柔道家がケガで選手生命を絶たれ、目指したものは

黒沢心(黒木花)は、幼いころ読んだ漫画がきっかけで柔道一筋とな。そのエピソードがさらにきっかけとなり、大手の出版会社『興都館』に就職し、週刊コミック誌「バイブス」の編集部へ配属。新人ながらも前向きで実直な、柔道に打ち込んできたんだなという言動が、徐々に編集部・営業部・漫画家に波及していく。

黒沢心の編集者としての成長と、週刊誌編集部と漫画家と、というストーリー。 

 

原稿作画は有名漫画家ぞろいでファン必見

ドラマでは何人もの漫画家の現場が描かれていますが、ドラマの小道具であるはずの原稿も、作画を実際の漫画家が描いているところは必見です。

三蔵山先生(小日向文世)『ドラゴン急流』は、『究極超人あ~る』『白暮のクロニクル』のゆうきまさみ。高畑一寸『ツノひめさま』は、『とめはねっ! 鈴里高校書道部』の河合克敏。八丹カズオ(前野朋哉)『たんぽぽ鉄道』は、『ぱじ』の村上たかし。

あと!藤子不二雄A先生とか、豪華すぎて書ききれないのですが、 女性として絶対外せないのは、山縣留羽『音の作法』『100万オトメバイブル』をいくえみ綾が登場です。

いくえみ綾の『おやすみカラスまた来てね。』の善十も見えますね。

 

立派な羽を育てたければ本をたくさん読みなさい

そう、それでいくえみ綾。オリオン書房の河さん(濱田マリ)が中学生の時に影響を受けたのが、山縣留羽『100万オトメバイブル』。このエピソードたまらなくいいですね。

黒沢心が「お父さんの漫画を読みたくないなら、他の漫画家はどうかな」と、後田アユ(蒔田彩珠)に『100万オトメバイブル』を渡す。

わたしたちはみんな
見えない羽を持っている
立派な羽を育てたければ
本をたくさん読みなさい
本の形は鳥の形
読めば読むだけ 強くて
しなやかな羽になる
そうすれば
どこまでも飛んでゆける

台詞はこんな感じ。実際のいくえみ綾の原稿は公式サイトでご覧になれます。しゅてきっ。ぜひ見て。

これが転機になり、アユは、父・牛露田 獏を歩み寄っていくし、第8話の最後に、河さんにるうるうが書店まで会いに行くところも、ホントいい。(この河さんのモデルとなった名物書店員さんが実際にオリオン書房にいて、第5話に出演されたそうです。)

 

出版社『興都館』のビルは『離婚弁護士』の裁判所だった

興都館のビルは、日本大学経済学部7号館です。

エントランスがすてきな校舎。あの白くて天井が高いロビーもそうなのかな。

わたくし事ですが同時期に再放送で見ていた『離婚弁護士』にも東京家庭裁判所としてたびたび出てきていたので「こうとかんだー!」ってなりました。水道橋駅から近いそうで……東京ドーム行くとき寄り道して見てみたい。

 

ワンクールラブ系ドラマ・ソリューション系ドラマではない魅力

はじめの数分で問題が勃発して30~40分程経過すると印籠が出てきてみんなで笑って解決するとか。学園モノに多いけどメイン出演者が7~8人いて、一週にひとりずつ順番にトラブル発生や悩み爆発して、でもキッカリ一話で問題解決される。そんなドラマを「ソリューション系ドラマ」と呼んでいます。←わたしが。

また「ワンクールラブ系ドラマ」というのは、なんかっちゃ、3ヶ月でなんとかしなきゃ!みたいなドラマ。ちょうど今期やっている『ラブリラン』も「この3ヶ月で私どうしちゃったの?3ヶ月間の記憶がない!」みたいな。3ヶ月で結婚しなきゃとか、3ヶ月だけ同居することになったとか、日本の番組編成の呪いにかかっている3ヶ月ドラマのことです。

#あくまでも筆者の造語です。

重版出来!はそのどちらでもない。たぶん設定として1~2年なのかな、長めの期間で、登場人物が徐々に成長・変化していてどのエピソードも少しずつ泣けるし、ホッとした解決があって、でも止まらず続いていく。

三蔵山先生の近代芸術文化賞受賞式、壇上でのスピーチ「ドラゴンシリーズを完結。新しい作品をはじめる」という発言がそれを象徴していました。

 

一番、心に残ったのは、三蔵山先生の第一アシスタント沼田(ムロツヨシ)のエピソード。第7話。

沼田が中田伯(永山絢斗)の才能への嫉妬から、中田のネームノートをインクで汚してしまう。三蔵山が察してコトを治めるのだが、「作品を作るということは、自分の心を覗き続けるということ。どんなに醜くても、情けなくても、向き合わなくては」と三蔵山は沼田に諭す。

同じ三蔵山現場で、中田が沼田のネームノートを目にする。アシスタント仲間は「自己犠牲で終わるアンドロイドの恋愛モノ」と言い、過去の編集担当者も理解してもらえなかったストーリーだが、中田は「違います。これは自分自身の存在を問う物語です。」と泣きながら言うのです。

わからない担当者は感性が鈍いのか、興味が一致しない。三蔵山先生には「コミカルに振ってみては」と言われる。いつか、いつか、いつか、わかってもらえる時が来たら出そう、と。わかってもらおうと戦わずに40歳になってしまった自分に向き合い、沼田はアシスタントをやめ、実家の酒屋に帰る。

 

視聴率は初回から最終回含め10%超えることはなく、平均7.2%だそう。とてもよいドラマだったんだけど、なんでかな。

 

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感想(3件)


【評】★★★★☆

黒沢心の時計は「INDEPENDENT×戦国BASARAコラボウォッチ」だよ。石田光成Ver.